それなんてサロゲ

サロゲートを観たゼ!


試験期間中、筆箱に学生証入れてたことを忘れ、一般料金となってしまった失態。
あとパンフレット買い忘れた。
ネタバレ。


いや良かった。好きだ!
自分でも不思議と観る前は意識しなかったんだが、ガジェットの描き出し方的にアナザー・サイド・オブ・アバターもしくはアバターB面劇場といっていいのに気付いて興奮したし、この二作が同時期に登場したのは奇遇この上なく、テーマ的にも好対照をなしていて興味深いのでSF者の皆様は合わせてチェックですね。監督もターミネーター繋がりである。
両者ともに人間の身代わりのネーミング、アバター/サロゲートがそのままタイトルになってて象徴的。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/word/page/10009425/
サロゲート surrogate 記事一覧へ >> 本記事は、 2004年3月31日に発行した「ネットワーク大事典」を基に掲載しております。内容は発行時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。 「代理者」という意味。CDN(content delivery network)で使われる用語であり,オリジナルのコンテンツを保持するオリジナル・サーバーに対比して使用する。キャッシュ・サーバーやミラー・サーバーなど複製されたコンテンツを所持するサーバーの総称。


しょっぱな、肌がツヤツヤしてて、髪がめっちゃ決まってるブルース・ウィリスを観てうわー!綺麗なブルース・ウィリスさんだ!かっこいい!って思ったけどそれもそのはずそれは身代わりロボット=サロゲートだったわけですが、街中を闊歩するサロゲートたちはみんなそれはもう整った造形(これは意識してのことだろうけども、CGモデリングにも見えるぐらいの綺麗なメイクもしくは効果を施してて、明らかに無機質な色味を演出しててこれがいいんです)をしておりまして(もはや生身で出歩いてる人は皆無)、サロゲートを拒否する自治圏の薄汚れた人々やサロゲートの中の人の醜さと対照的に描き出してる。
自己実現のモチーフとはいっても、アバターはナヴィへの同化っていうのが前景化してるけど、サロゲートのほうは、まさしく自己実現に使うツールとして、主にウェブ/オタクカルチャーで顕現してるところの、コミュ志向でキャラクターを切り替えるように身を振っていく現代の機制と符号してる点で、よっぽど本来の意味で、アバター的、といえる。
妻がサロゲートで働いてる60年代風の理容室(といってももはや散髪する者は誰もいないので、カスタマイズ屋、といった趣きである)も、データベース消費きてんなぁ、と。


サロゲート組織のグルがパルプ・フィクションで印象的だった人で、ここで再共演を果たしてる。面白い。
このグル、絶対お前もサロゲートなんだろ!って思ってたらやっぱりだった。


個人的SF映画の燃えポイント、都市景観描写ですが、本作に関しては現代と全く変わりない感じ。
そして、技術力の設定的にも、サロゲート以外は特に進んでる技術はなくて、これはあくまで我々の生活の延長として演出してんだろうな、と。
途中まさにFPSのように、ゲーム感覚で戦争をやるシーン、そのあまりに寒々しいアイロニーったらなかった。ここは笑うところ。
アクションで魅せるという風情でもなくて、落ち着いて淡々と見てられるんだけど、個人的には前半のブルースの追跡劇よりも乗っ取られたピータースがサロゲートの超絶身体能力でもって車相手にガシガシ逃げ回るシーンは燃えた!
あの重量感ね!これは良い草薙素子フレーバー。
そういやサロゲートに関しては完全にロボットっぽいですよね。電機仕掛け(充電スタンド!笑)。多分メシも食えないし排泄もしないし汗もかかない仕様なんだと思う。セックスは知らん。
アンドロイドとはいってもメカ主体か、サイボーグか、バイオテクノロジー主体(これはクローン分野とも接近してる)かってのはSF者は拘るところである。エイリアンのビショップとかはバイオ主体だっけ?ドロドロしてたし。でブレランレプリカントはメカオンリーかな。
攻殻義体はメシも食えるしセックスも出来る、相当高度なメカ/バイオのハイブリッドよね。
攻殻にもこのモチーフあるけど、にしてもここまで自己実現の身代わりとしてのロボを全面に描いたのはサロゲートが初めてかしら?


ラストの、人間は救ってもサロゲート、テメーらは駄目だ、の演出が最高で、リアルワールドがもはや完全な虚構になってるたのを暴き出すわけですが、都市が機能を停止してくあの様には全く快哉を叫ぶほかなかった!
で、その結末を選ぶブルース・ウィリスの動機が、妻の心の殻を破って、愛をとりもどせ!っていう、解りやすさがむしろグッと来た。かっこいいぞ!
アバターより断然感慨深かったな。


朝一で渋谷シネタワー(数年ぶりかも)で観たけど、やはり客はまばらであった。
てかここ数年のクオリティ高いシネコンの趨勢のおかげで、音響にしても座席にしても、もうこれじゃ満足できんなーと。