椎名誠「アド・バード」「水域」「武装島田倉庫」(と、「亡念のザムド」について)

椎名SF三部作といわれる三冊を一気に読んだ。
最初「アド・バード」を「ぬわー凄い情報量だ」と一週間ぐらいちびちび読んでいたのだが、イメージを掴んでからは続けて「武装〜」→「水域」の順で二日で読んでしまい、すっかり魅了されてしまった次第。


武装〜」のエピソード「泥濘湾連絡船」を読み進めていると、ん・・・ザンバニ船?そして抓皮伊舟?!こ、これは・・・と最後まで読み進めていくと出るわ出るわ、いやはや驚かされました。それを知ってからというもの「水域」も何かあるはずだ、と目をかっぽじって(?)読み、「アド・バード」も全編再度漁ってしまった。


まとめると
武装島田倉庫」
世界観・・・油泥海、半島、島など島国が舞台、運び屋稼業、北政府との戦争、日本的情緒、パラレルワールド感覚、ネーミングセンス等、他二作にも共通
キャラ(右はザムドにおけるネーミング)
アーム→アーム
ザンバニ船→ザンバニ号
抓皮伊舟→紅皮伊舟
垣巣+枕元凍三郎→垣巣凍二郎
汗馬七造→汗馬礼蔵

比較的少ないが
「アド・バード」
地ばしり→ジバシリ
「水域」
ハル→西村ハル(ただしハルは男)
角俣雷魚→角股雷魚(「武装〜」に掻又礼三という人も出てきてはて、と思ったが、後に「水域」を読んだらモロに出てきたので驚いた)


と、かなりの影響が伺えます。監督さんも相当お気に入りだったのでしょう。
しかしまぁ、見る人が見れば、〜ですね、わかりますとなるポイントを公然と多数盛り込んだザムド(例:http://ansaikuropedia.org/wiki/%E4%BA%A1%E5%BF%B5%E3%81%AE%E3%82%B6%E3%83%A0%E3%83%89)でしたがうーん、この「武装島田倉庫」に関してはオマージュの程度が段違いだ。


と、椎名作品への感想を全然書いてませんでしたが、氏が旅行、アウトドアに精通している故の豊潤な生物、自然描写がやはりSFにおいては異彩を放っているのだろうな、とひしひし感じるわけであります。
元も子もないことを言ってしまいますが、ザムドのおかげでジブリ的ビジュアルイメージと通底するところがあると判ってしまったので、そのあたりにグッと来る人は皆読めばいいと思うよ!
三部作の世界観で書いてる短編やらが他にもあるそうなので漁ってみます。
アド・バードはかつてアニメ化企画があって頓挫してしまったそうですが惜しい。